アメリカ大学情報室

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【合格率アップ?】Demonstrated Interest の重要性【アメリカ大学受験】

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皆さんこんにちは!はやく前回の続きを書かなきゃと思っていたのですが、気づいたら一ヶ月以上たってしまいました。(>_<) すいません。

分からないひとのために説明すると、この【熱意アピール編】は、3つの記事からなるシリーズで、これは第二章です。

前回の記事(第一章)では「Yield Rate(歩留まり率)」について書きましたが、今回はその知識を応用して、どう受験に役立てるかを解説していきます。まだ前回の記事を読んでいないというひとはそちらから読むことをおすすめします! ⇩ 

uscollege.hatenablog.com

それでは、さっそく参りましょう!

Yield Rate から理解する「アメリカの大学が受験生に求めるもの」

前回の記事では、アメリカの大学にとって「Yield Rate」がなぜ大事なのかを解説しました。そこで話した重要なポイントは以下の3つです。

  • 「Yield Rate」とは合格者のうち何%が実際に入学したかを表す数値
  • アメリカの大学にとっては様々な理由(ブランド価値、大学ランキング、授業料収益など)から「Yield Rate」は高いほうがいい
  • だからアメリカの大学は「Yield Rate」を上げようと努力している

さて、ここからが今回の本題です!

アメリカの大学にとって「Yield Rate(歩留まり率)」は重要な指標であり、どこも多かれ少なかれこの数値を上げようと努力しています。(特に生徒を選ぶ余裕がある名門大学は)

この「Yield Rate」を一番かんたんに上げる方法は単純に「合格をあげたら入学してくれそうな生徒を多くとる」ということです!

なので、皆さんが思っている以上にアメリカの大学は「生徒が大学にどれだけ興味・熱意をもっているのか」をみているのです。

だから、「生徒の大学への関心度・熱意の度量」も、受験生が注意しなければならない選考基準のひとつなのです。

なるほど。たしかに、どんなに優秀でもあきらかに「すべりどめで・なんとなく受けていまーす」みたい感じだったら大学側は合格にしにくいよね。特に「Yield Rate」のことを考えると。

そのとおり!特に同じような成績の生徒が2人いたら、より大学に対して関心・熱意をみせていて入学してくれる可能性が高そうな生徒の方がいいでしょ?もちろん成績や課外活動が合格圏内にあることが大前提だけど、「どうしてもこの大学に入りたいんです!」という熱意・関心をアピールできれば合格する確率をあげることができるんだ!

アメリカの大学受験でこのような「熱意アピール」(これは筆者オリジナルの言葉です笑)のことを「Demonstrated Interest」といいます。ようは大学に対して興味・関心があることをアピールすることですね。

ちょっとこの「Demonstrated Interest」を日本語でなんていうのか分からなかったので、この記事では筆者の独断で「Demonstrated Interest」=「熱意アピール」ということで進めていきたいと思います。分かりにくかったらごめんなさい!

データが示す「熱意アピール(Demonstrated Interest)」の重要性

実際、「熱意アピール(DI)」の重要性は National Association for College Admission Counseling (NACAC) が2017年に行なった調査結果にも表れています。この調査では、実に13.7%の大学が「熱意アピール」は入学選考の過程において「かなり重要 (Considerable Importance)」と答え、25.5%の大学が「適度に重要 (Moderate Importance)」と答えました。

つまり、約40%もの大学が「熱意アピール(DI)」を入学選考の評価対象としているってことだね!これは面接(22%)や学年での順位(Class Rank、38%)よりも高いし、課外活動(49%)や推薦状(54%)などと比べてもそんなに変わらないんだ!

もちろん、一番だいじなのは、成績や課外活動などの主要項目なので、そこがしっかり合格圏内にあることが大前提ですが、それプラス「熱意アピール」がうまくできれば、合格への可能性をさらにあげることができます!

大学への「熱意アピール(Demonstrated Interest)」の3つのポイント

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これまでのことをまとめると、こんな感じになります。

どうですか?大学への「熱意アピール(Demonstrated Interest)」がなぜ効果的な戦法になりうるか分かっていただけたでしょうか。

でも「熱意アピール」と一言でいっても具体的にどんなアピールをすればいいのでしょう?

すべりどめの大学でも「第一志望校です!」とか言わなきゃいけないの?

いや噓はダメだよ (笑) それにそんなことしなくても「熱意アピール」には3つの重要なポイントがあって、その3つさえおさえておけば効果的なアピールができるんだ!

効果的な熱意アピールに欠かせないポイントは以下の3つです。

  • 大学のフィロソフィをしっかり理解していることをアピール

  • 大学のリソースを有効活用できる人物であることをアピール

  • 大学のコミュニティに貢献できるひとであることをアピール

ここからはこの3つのポイントを詳しく解説していきます。

【ポイント①】大学のフィロソフィ(教育理念)を理解していることをアピール

まず、重要なのが大学のフィロソフィをしっかり理解していることをアピールすることです。

大学はそれぞれ自分たちの教育理念・フィロソフィなどがあり、それを誇りに思っています。だから、そのフィロソフィを理解していることはもちろん、それを体現してくれそうな生徒だと思わせることができれば、効果的なアピールになります。

志望動機などを書く時も、「キャンパスの美しさ」や「食堂のクオリティの高さ」みたいな単調なものよりも、あなたがフィロソフィへ「共感」していることを伝えることができれば、大学もあなたの熱意が「本物」であると感じるでしょう。

また、逆に大学への熱意アピールをする際に絶対やってはいけないのが、相手に自分熱意が「偽物」だと感じさせてしまうことです。例えば、大学説明会などでちょっと調べれれば分かるような質問をしたり、エッセイで大学について間違った情報を書いたりしたり、「うすい」志望理由を書いちゃったりすると、「こいつうちの大学が好きというよりも、とりあえず合格するためにだけにやっているな」と思われてしまいます。

「どうしてもこの大学に行きたいんだ!」という情熱を「濃く、具体的に」伝えられるように心掛けよう!

【ポイント②】大学のリソースを有効活用できる人物であることをアピール

大学は高いお金を払って教授、施設、プログラムなどの「リソース」を生徒のために用意します。

そう、大学にとってリソースを用意することは、生徒への高額な「投資」でもあるのです。だからこそ、生徒にはそのリソースを有効活用し、将来は大学のブランド価値を上げてくれるような人物になってほしいと思っているはずです。

だから、大学はいかにも流されているだけそうな、「なんとなく感」があふれている生徒には興味がありません。

彼らが求めているのは、行動力と向上心があり、意欲的に大学のリソースを自分の成長のために使う生徒です。

なので、大学のリソースの価値をしっかり理解しており、なおかつそのリソースをどう自分のために役に立てるのかというビジョンをしっかり描けていることが伝わってくる熱意アピールは、より「深み」が感じられます。

【ポイント③】大学のコミュニティに貢献できるひとであることをアピール

アメリカの大学の入学選考では「この生徒が自分の大学にフィットするのか」合否の1つの判断基準としているの。だから、「なぜ自分がその大学に合っているのか」や「どう大学のコミュニティに貢献するか」をしっかりアピールできる生徒の評価は高くなるの!

例えば、大学 A がボランティア・プログラムに力を入れているとしましょう。この大学はどういう生徒を集め、どういうコミュニティ(もっというならブランド)を作ろうとしていると思います?

大学が作りたいコミュニティ生徒同士が助け合い、常に自分のことより他の人の手助けになろうと頑張る人で溢れる環境

生徒に求める素質ボランティア熱心、個人的利益よりも社会全体への利益を優先できる、世界をより良い場所にしたいと考えている(環境問題の活動家など)、自分から行動できる・・・など

大事なのは自分がその「大学が求めている人材」、つまり「大学が理想としているコミュニティの形成に貢献できるひと」だとアピールすること。あなたの大学への熱意が本物だと思わせるには、大学の特徴・フィロソフィを理解しているということだけでなく、どう自分が大学のコミュニティに貢献できるをしっかり理解していることを示さねければなりません。

プチまとめ

「熱意アピール」は何でもすればいいというものではないことは分かっていただけたでしょうか?絶対「なんとなく受けている」という印象を与えてはダメです。「どうしてもこの大学で人生の次の章をはじめたいんだ!」という猛烈な熱意アピールで、相手に「どうしてもこの生徒が欲しい」と思わせるぐらいの気持ちで!

効果的な「熱意アピール(Demonstrated Interest)」の一例

とりあえず熱意アピールをする際に重要なポイントを説明しましたが、これだけではピンとこないひともいると思うので筆者が個人的に効果的だと思う熱意アピールの一例を作ってみました。

僕が生徒になりきって大学に対する熱意をアピールするから、みんなも大学の Admission Officer になったつもりで評価してみてね!

それではさっそく例をみていきましょう!

効果的な「熱意アピール」の一例

生徒 Z です。僕は幼い頃から機械を分解したり、組み立てることが大好きでした。高校では工学クラブを作り、リーダーとして数々のプロジェクトを成功させることができ、全米のロボットコンテストでも優勝することができました。僕の夢は工学の発展に貢献できるようなエンジニアになることで、この大学は2つの理由からその夢を叶えるのに最適な場所だと思っています。1つ目の理由は大学のオープン・プログラムの存在です。僕は心理学を工学に応用することが可能であり、この2つの異なる分野の知識を混ぜ合わせることによって工学をさらに発展させることができると考えています。ただ、これには両方の分野で高いレベルの知識を持つ必要があります。その点、一般教養科目をとる必要がなく、さらに学部の枠にとらわれず自分の好きな分野の勉強ができるオープン・プログラムに強い魅力を感じました。2つ目の理由は全米トップを誇る大学の工学プログラムです。単に現在の知識を学ぶだけでなく、「常にイノベーションを目指す」というを教育理念を掲げているこのプログラムは、同じく工学の新たな可能性を模索している僕の研究をはじめる場所としては最適だと思いました。また、大学には工学の最先端で働いている教授が多数おり、彼らのもとで学ぶことで知識だけでなく、これからの工学のあり方についても学べると考えています。特にジョンソン教授は世界で初めて他の分野の知識を工学に応用することに成功した人物なので、僕のプロジェクトについてもぜひアドバイスをもらいながら社会の役に立つようなものに発展させていきたいです。

どうですか?この例は筆者が夜中に適当に考えたものなので、エンジニアのこととか間違っていたらすいません。でも、こんなのでも普通に「この大学に行きたいんです!」というよりは説得力があるというか熱意が伝わりますよね。ここからはポイントごとに解説していきたいと思います。

【解説】

オレンジ自己アピールですね。今回のトピックは「大学への熱意アピール」なので、自己アピールについてはあまり深くは解説しませんが、アメリカの大学では自己アピールはとても大切です。というか、これがちゃんとできてないと、大学への熱意アピールをいくらしても効果はありません。この生徒は自分が興味がある分野(工学)」、「実績」、そして「将来の夢」の3つを交えてうまく自己アピールできていますね。

青色の部分ポイント①の「大学のフィロソフィ(教育理念)を理解していることをアピールですね。この生徒はオープン・プログラムや工学プログラムのことなど、この大学のフィロソフィをしっかり理解していますよね。これなら大学側も「あっうちのことちゃんと知っているな!」と感心しますし、なんとなくではなく明確な意思を持ってこの大学を受験している印象を与えることができます。

むらさきポイント②の「大学のリソースを有効活用できる人物であることをアピールですね。この生徒は大学の特徴を理解しているだけでなく、それがなぜ自分に合っている・どうそれを自分の成長のために役に立てるか明確なビジョンを持っていることが伝わってきますよね。大学のオープン・プログラム、工学プログラム、そしてトップレベルの教授という大学自慢のリソースをそれぞれどう自分の成長のために使うのかを明確に説明することで、「どうしてもこの大学で学びたいんだ!」という熱意が伝わってきます。

また、この生徒は、いっけんポイント③の「大学のコミュニティに貢献できるひとであることをアピール」をしていないように見えますが、このアピールも十分できています。例えば、この大学はオープン・プログラムを採用することで、様々な分野にわたって探究・活躍できる生徒を求めているはずです。その点、この生徒はそのプログラムの趣旨をしっかり理解しており、自ら「学部の枠にとらわれず」研究をしていきたいと言っているので、同じようなマインドをもった生徒たちで溢れるコミュニティにも問題なく馴染むでしょう。また、工学のプログラムのモットーが「イノベーション」であることも、それを知っているだけでなく、自らのプロジェクトもそれにあてはまると言っているので、その点もちゃんと大学の教育理念をしっかり体現してくれそうな生徒だというふうに感じられます。

このように、この3つのポイントをちょっと意識するだけで、かなり「深み」のある熱意アピールをすることができます。

あとは、やっぱりできるだけ具体的に。大学の特徴を浅く何個も並べるのではなくて、自分にとって大切なものを1つか2つ深く掘り下げるようにしましょう。

「熱意アピール(Demonstrated Interest)」の失敗例とその影響

さて、ここまでは「熱意アピール(Demonstrated Interest)」がどれだけ重要かを説明してきましたが、いちど視点を変えてこのアピールを失敗するとどんな影響があるのかをみていきましょう。(いくつか例を用意しました)

僕が各シナリオの生徒役をやるから、みんなもなぜその生徒のアピールがダメなのかを考えてみてね!

失敗例1「熱意アピールを全くしない」

生徒 A です。僕は幼い頃から機械いじりが大好きで、高校ではエンジニアクラブを作り、リーダーとして様々なプロジェクトを成功させました。また、2021年の全米のロボットコンテストでも優勝しました。大学ではエンジニアリングを学び、工学の発展に貢献できるようなエンジニアになりたいと思います。

【解説】アメリカの大学受験では自己アピールはとても大事です。その点、この生徒はうまく自己アピールできていますが、大学については何も書かれていません。これだけだと、大学側は「何でうちで勉強したいの?」や「結局どこでもいいんじゅないの?」などと思ってしまい、いまいち「大学への情熱・関心」が伝わりません。

失敗例2「熱意アピールがありきたりすぎる」

生徒 B です。この大学に合格するのが小さい頃からの夢でした。大学見学には何回も行きましたし、たくさんの在校生とも話しましたが、調べれば調べるほどこの大学のことが好きになっていきました。特に広くて美しいキャンパスと生徒の大学に対する愛校心の高さに魅力を感じました。ぜひこの大学で4年間勉強し、立派なエンジニアになりたいです。

【解説】生徒 B は一見しっかり熱意をアピールできているようにみえますが、その内容はとても単調でありきたりです。「キャンパスの美しさ」や「生徒の愛校心の高さ」のようなちょっと調べたらすぐ分かるような大学の特徴を並べられてもあまり熱意は伝わりません。そして何より、なぜこの大学が自分の夢や目的を達成するのに最適な場所なのかについて説明していません!

失敗例3「熱意アピールが間違った情報を含んでいる」

※設定:この大学の特徴・売りは一般教養プログラムのクオリティの高さ

生徒 C です。僕はこの大学が自分の夢を叶えるのに一番最適な場所だと思っています。僕の夢はエンジニアとなり工学の発展に貢献することです。それにはたくさんの専門的な知識を学ぶ必要があります。そのため、大学では一般教養よりもできるだけエンジニアの勉強に時間を割きたいと思っており、工学プログラムのレベルが高く一般教養がないこの大学が魅力的にうつりました。

【解説】この大学は一般教養プログラムが自慢なのに、生徒 C は「一般教養がないこの大学」と完全に間違った認識をしています。この時点で「にわか」だということがバレバレでかなり致命的ですが、それ以上にこの生徒は自分で「一般教養はいらない」といってしまっているので、大学側はうちにはフィットしないと思い、リサーチミスを見逃してくれたとしても合格する可能性はかなり低くなってしまいます。熱意アピールをする際は必ず大学の特徴・フィロソフィーをしっかりリサーチし(ポイント①)、なぜそれらが自分に合う・必要なのかを説明するようにしましょう(ポイント②)。

やっぱり大学への熱意がちゃんと伝わってくると、大学側もその生徒に合格をあげやすくなります。時にはこれが合否の分かれ目になるので、みなさんもしっかり熱意アピールの重要性を頭にいれておいてください。

まとめ

今回でこの「熱意アピール編」は終わらせるつもりだったのですが、またも長くなってもしまったので、次回こそ三度目の正直でちゃんとコンプリートさせたいと思います。

【更新】⇩これがその最終章です⇩

uscollege.hatenablog.com

 ただ、長くはなってしまいましたが、今回の記事で少しでも「熱意アピール」の重要性(そしてその3つのポイント)についての理解が深まったことを願っています。「熱意アピール(Demonstrated Interest)」はまだまだ軽視されがちですが、うまくやればとても強力な武器となりえるので、みなさんも頑張ってください!グットラック!



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