皆さんこんにちは!今回のトピックは「Yield Rate」です!
「Yield Rate」って確かその年の合格率や合格者プロフィールなどと一緒に毎年公表されているやつだよね?
そう!日本語だと歩留まり率っていって、合格者のどのくらいが実際に入学したかを表しているとても重要なデータなんだ。
へえ~。でも、それって受験生にとっても大事なの?
それがとても重要なんだ。「Yield Rate」をしっかり理解すれば、入学選考においての大学側の意図・基準への理解が深まるし、それは受験戦略にも応用できるんだ!
そうです!今回のトピックはいっけん生徒にとってあまり重要そうではなさそうに見えますが、実は意外と大事なんです!ぜひ最後まで読んでください!
- Yield Rate とは?
- アメリカ大学トップ25校の「Yield Rate」(2020年度)
- アメリカ大学の「Yield Rate」が低い理由とは?
- なぜアメリカの大学は「Yield Rate」を気にする?
- おまけ:Yield Protection 存在説
- 受験生も無関係じゃない!Yield Rate から導きだす受験対策:Demonstrated Interest の重要性
- まとめ
Yield Rate とは?
まずは「Yield Rate」とはなにかですよね。
難しそうにみえるかもしれませんが、全然そうなことはありません。よく「Acceptance Rate」といっしょに取りあげられるので、セットで説明します。
- 「Acceptance Rate(合格率)」= 受験者のうち何%が合格したか
- 「Yield Rate(歩留まり率・入学率)」= 合格者のうち何%が実際その大学に入学したか
計算方法:入学者 ÷ 合格者 = Yield Rate(歩留まり率)というわけです。
どうですか?簡単でしょう?
つまり、「Yield Rate」が100%の場合、合格者全員がその大学に進学したことになります。逆に、0%だと誰もその大学に進学しなかったことになります。(そんな大学ないですけどね笑)
「Yield Rate」が低いと、合格を「蹴った」生徒が多かったことになるので、やっぱり大学側としては「Yield Rate」は高いほうが見栄えがいいですよね。でも、アメリカの大学が「Yield Rate」を重視するのはそれだけが理由じゃありません。これは後に詳しく説明しますが、まずはその前に・・・
アメリカ大学トップ25校の「Yield Rate」(2020年度)
せっかくなので、アメリカ大学の実際の「Yield Rate」がどんな感じなのか、「Acceptance Rate」と一緒にみてみましょう。
ちなみに、これらのデータは毎年入学選考が終わったあとに大学が公表しているので、各大学のウェブサイトにいけば簡単にみつけられます。
今回はそれらをまとめてくれているブログをみつけたので、そちらを表になおして使わせていただきました。(このデータでいう「トップ25大学」は、US News & World Report の大学ランキングに基づいているそうです)
2020年度のアメリカ大学トップ25校の「Yield Rate」
意外と低くない?と筆者同様に思ったひとも多いんじゃないでしょうか?
2020年度の入学選考で1番「Yield Rate」が高かったのはハーバード大学とスタンフォード大学の82%ですが、このような超エリート大学でも20%近くが合格を蹴っているのです。
あと「Acceptance Rate」が低いほど、「Yield Rate」が高い傾向がありますね。やっぱり入るのが難しい大学ほど、第一志望校であることが多いので、自然とそうなるのでしょう。
アメリカ大学の「Yield Rate」が低い理由とは?
例えば、東京大学の「Yield Rate」は99%(2019年)を超えています。だって普通に考えて東大の合格を蹴るなんて想像できないですよね。
でも、アメリカの場合、トップ25の名門大学であっても50%を超えているところのほうが少ないですし、なかには30%台の大学もありますね。
これは大学選びの基準の違いからくるものでしょう。日本の場合、大学のネームバリューを最優先に考えますが、アメリカ場合はそれよりも学費(奨学金の有無)や環境、そしてどの大学が1番じぶんにあっているかなどかを優先して大学を選ぶ傾向が強いですから。
なので、アメリカの大学では、「Yield Rate」が50%もあれば高いほうになりますし、平均も30%あたりといわれています。1つの基準として覚えておくといいでしょう。
なぜアメリカの大学は「Yield Rate」を気にする?
アメリカの大学にとって「Yield Rate」はかなり重要です。これにはいくつかの理由があります。
合格率を下げるため
もし「Yield Rate」が高ければ、その分だけ合格者の数を少なくすることができます。逆にこれが低いと、定員を埋めるためにより多くの生徒に合格をださなければいけないため合格率があがってしまいます。
なぜ大学はそこまで合格率を下げようとするかというと、最近は「低い合格率」が名門大学の証とされており、一種のステータスとなっているからです。特に「一桁の合格率」は多くの大学の憧れみたいなものでしょう。
合格率を下げる方法は受験者の数を増やすか「Yield Rate」をあげるかの2つしかないので、だから大学は頑張って「Yield Rate」をあげようと努力しているわけです。
大学ランキングに影響するから
「Yield Rate」や「Acceptance Rate」(特に後者)は大学のランキングに影響してきます。多くのランキングはこの2つを使い入学難易度を評価するためです。
年々ランキングの重要度は増していて、どの大学も1つでも順位をあげるために頑張っています。受験者の数を増やして「Acceptance Rate」を下げるために、SATなどの共通テストや推薦状の免除などを取り入れている大学もあるくらいです。ちなみに、アーリーディシジョン(Early Decision)制度も「Yield Rate」をあげる効果があります。
おまけ:アメリカ大学ランキングについてはこちら ⇩
Yield Rate が低いと授業料収益が下がるから
毎年、大学は「Yield Rate」を予想して入学選考を行いますが、その実際の数値が予想より低いと、新入学生の数が目標を下回ってしまいます。そうなると授業料収益が減ってしまうため、これを回避するためにも大学は入学選考の際、この「Yield Rate」をとても気にするのです。
もちろん予想より多くの生徒が入学することもあり、これもこれで問題なのですが、たぶん経済的な理由から、「目標より低い Yield Rate」の方が深刻でしょう。
入学選考プロセスの評価のため
大学は「Yield Rate」を使いその年の入学選考プロセスの評価をするそうです。「Yield Rate」は実際に入学した合格者の割合です。なので、これが低い場合、合格の基準・生徒の見極め方法を見直す必要があるかもしれません。
「本当にその大学にマッチした生徒を選べていたか?」や「本当にその大学に入学する気がある生徒に合格をあげられていたか?」などの答え合わせに「Yield Rate」は重要なわけです。
そんなに「Yield Rate」が大事なら絶対入学しそうな生徒ばかりを合格にすればいいじゃんとなりそうですが、合格者のテストスコア・成績の平均も大事ですし、滑り止めで受験していると分かっていてもやっぱり優秀な生徒はどの大学も欲しいので難しいんですよね。そのバランスを調整するためにも「Yield Rate」は必要なのです。
おまけ:Yield Protection 存在説
「Yield Protection」とは「スター生徒」(レベルが高い生徒)をわざと不合格または Waitlist (補欠合格)にして Yield Rate が下がるのを防ぐ方法のことです。ちなみに、Tufts Syndrome ともいうようです。
大学にとって「スター生徒」は確かにとても欲しいですが、せっかく合格をあげても実際に入学してくれる生徒は少ないです。(Harvard などは例外ですが)なので、明らかに滑り止めで受験している生徒を不合格や補欠合格にすることによって、Yield Rate が下がるのを防ぐのです。特に Waitlist は補欠合格を希望した生徒はほとんどの場合絶対に入学しなくてはならないので、本当に入学する気がある生徒だけを見極めることができるので最適です。
ただ、これはあくまで噂であり、大学が本当に「Yield Protection」をしているという証拠はありません。
受験生も無関係じゃない!Yield Rate から導きだす受験対策:Demonstrated Interest の重要性
これだけみると「Yield Rate」はあまり生徒にとって関係なさそうにみえますよね。大学にとって重要なのは分かったけど、受験生には関係ないじゃんと思っているひとも多いでしょう。でも、先ほども書いたように、これが意外と受験生にとっても重要なんです。
大学は「Yield Rate」をあげるために「入学してくれそうな生徒」を好みます。どんなに成績やテストスコアがよくても「入学する意思」がないと判断されれば、あまりよい印象を与えません。
だからこそ、「私はこの大学が大好きで、受かったら入学しますよ」という感じを強くアピールしなくてはいけません。志望校にも滑り止めにもです。これを「Demonstrated Interest 」といいます。
アピール方法は小さいものから大きいものまで、いろんな方法があります。本当はここで紹介するはずだったのですが、ちょっと長くなりそうなので次の記事で書くことにしました。ぜひそちらも読んでください!
まとめ
- 「Yield Rate(歩留まり率・入学率)」= 合格者のうち何%が実際その大学に入学したか
- 「Yield Rate」は大学にとってとても重要で、入学選考が行われる際もこれが考慮される
- 大学は「Yield Rate」を落とさないように「入学する気がある生徒」を好むため、そこのアピールが重要である(=「Demonstrated Interest 」)
ちなみに、この記事は3つの記事からなる「熱意アピール編」の最初の記事(第一章)です。第二章、第三章では、この知識をどう受験に活かすのかを詳しく書いているので、ぜひそちらもチェックしてください!
⇩第二章「【Demonstrated Interest】アメリカ大学への「熱意アピール」の重要性【熱意アピール②】」
⇩第三章「熱意アピール(Demonstrated Interest)」の効果的な方法8選【熱意アピール編③】」