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【さらばSAT・ACT?】アメリカ大学が共通テストを除外する理由

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2020年5月、アメリカの名門カリフォルニア大学が5年後までに、SATやACTなどの共通テストを入学選考から除外すると発表しました。日本でも有名なバークレー校 (UC Berkeley) やロサンゼルス校 (UCLA) をはじめとする10校からなるアメリカ最大規模の州立大学群であるUC System 。その決断は、アメリカ大学界全体に大きな波紋をもたらしています。しかし、一番その影響を受けるのは、言うまでもなくこれから受験を控えている生徒たちですよね。なので、今回は共通テスト廃止の影響と対策について解説したいと思います。

なぜカリフォルニア大学はSAT・ACTを廃止したのか?

まず知っておきたいのは、このトッピクは長年議論されていたということ。青天の霹靂のように感じるひともいると思いますが、意外とSAT・ACTアンチは多く、特に最近は共通テストへの風当たりが強くなっている気がします。その影響を受けてか、SAT・ACTをオプショナルにする大学も多く、その数は150校にものぼります。有名どころでいうと、Univerisity of Chicago や Bates College などですかね。

カリフォルニア大学もそのトレンドに乗ったかたちですが、なぜSAT・ACTを入学基準にすることへの反対派が増えているのでしょうか?ひと言でいうと「共通テストの不公平性」への不満ですね。これは裕福な家庭の子供のほうが、貧困層の子供よりも高いスコアをとりやすいから不公平である、という主張です。確かにお金と時間に余裕があるほうが断然有利。お金があれば、テスト教材などが買えますし、塾やテスト対策コースに入ることができます。また、1回のテストでかかる受験料も安くはないので、貧困層の子供は受けられる回数にも限りがあるでしょう。それにテスト勉強にあてられる時間の差、というのも納得がいけます。家族のために働かなくてはならない子供たちはたくさんいますし、そういう子供たちにとっては学校の勉強だけで精一杯ですから。

SAT・ACTは「学力の物差し」としては不完全?

共通テストの一番の目的は平等に学力を測り、生徒が大学でやっていけるかを判断することです。しかし、貧富の差による「不平等性」が点数に影響するとなると、共通テストは正確に学力測定できていない可能性があるということです。

その疑問を検証しようと、UCバークレー校の大学院生である Zachary Bleemer はあるデータを集めました。それはSATスコアと大学の卒業率の関係性です。もしSATが正確に学力を測定しているのならば、SATスコアが低い生徒ほど、卒業率も低くなるはずです。実際、平均卒業率が83%なのにたいして、低SATスコアの生徒全体の卒業率は55%と明らかに低く、SATの正確性は立証されたように思えました。

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Zachary Bleemer 氏のデータ

しかし、彼はある点に注目しました。低いSATスコアでUC校に入学した生徒はどうだったのかという点です。低SATスコアの生徒は本当に学力が低いがために卒業できないのか、それとも入った大学(比較的レベルが低いため)の環境が影響しているのかを見極めるためです。すると、意外にもUC校に入った低スコアの生徒たちは、SATの点数が低かったにもかかわらず、ほとんど平均と変わらない卒業率(77%)を残していることが分かりました。つまり、ポテンシャル的には十分大学に適応できるのに、SATの点数が低いがために良い大学に行けなかったという生徒がいるのです。これは長年共通テストを使い生徒の学力を測り、大学についていけるかを判断していたアメリカの大学にとって予想もしなかった結果です

SATなどの共通テストが皆に平等ではないというのは事実です。しかし、個人的には入学選考に残しておいてほしかったですね。というのも、生徒の「学力」は高校の成績と共通テストのスコアで評価されてきました。共通テストがなくなると、成績だけで判断することになりますが、これは高校によって大きく変わるため、これこそ「公平」に評価することが難しいです。例えば、日本の高校生の成績とアメリカの高校生の成績を比べるには限界がありますよね。全然違う環境、システム、カルチャーの中でやっているのですから。僕も2つの高校に通いましたが、同じ「A」でも全然違うな~とよく思いました。

共通テストは皆、同じテストを受けうるので、そういう「不公平さ」はありません。なので、共通テストは残したままで、それをもっとみんなが公平に受けられるようなシステムを作ってほしかったですね。

共通テスト除外後の対策

SAT・ACTはこれからも受けるべき?

答えはYESです。共通テストを入学選考から除外する大学が増えているとはいえ、まだほとんどの大学は共通テストの提出を義務づけています。特にトップクラスの大学はやはり高スコアを求めていますので、ちゃんと勉強して、自分のベストスコアを叩きだしましょう。ちなみに、今回テスト除外判断をしたUC校も2021・2022年は共通テストを受けつけています。また2023・2024年は入学選考には含まれないものの、奨学金の選考基準にはなります。それ以降は完全に除外されるので、2025年以降にUC校を受験するひとは必要ないかもしれません。

また、コロナウイルスの影響で、多くの大学がSAT・ACTの提出を免除しています。しかし、やはり受けられるのであれば、受けましょう。高いスコアが取れれば、あなたの強力な武器となります。もしスコアが低い場合は、送らなくても良いのですから、受験しても損はありません。

成績表重視になる?

アメリカの入学選考には主に以下の2つのパートに分けられます。

  • 学力(academic ability)
  • 人格評価(personality)

先ほど書いたように、学力は共通テストと成績表によって評価されます。ただ、この共通テストがなくなると、より成績が重視されると思われます。これは成績評価(レターグレードや数値評価)などだけではなく、そのコースや科目の難しさなども含まれます。

また、共通テストという判断材料が1つなくなるわけですから、他の項目(エッセイ、課外活動などの人格評価)などもより重視されます。今まで以上に、こちらのほうに力を注ぎましょう。

 まとめ

一言でまとめると、共通テスト排除する学校が増えているのは、貧富の差による「不公平さ」を理由に入学選考に含むことを反対するひとがいるからです。

生徒が今すべきことは

①引き続きSAT・ACTで高得点を目指すこと(高スコアは強力なアピールに!)

②成績や課外活動・エッセイなどに今まで以上に力をいれること    の2つです。

またなにか新しい情報があれば、お伝えします!

 

 



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