SATとACTどっちがいいの?
共通テストの勉強をはじめる際に、多くのひとが一度は悩みます。
いちおう分からないひとのために説明すると、多くの大学で提出が求められる共通テストにはSATとACTの2種類があり、どちらを受験してもOKです。なので、受験生はどちらを受けるかを(すごく?)悩みます。
今回はその決断をすこしでも簡単にできるように、SATとACTの違いを徹底的に解説していきます。
SAT vs. ACT完全比較ガイド(もくじ)
- SAT vs. ACT完全比較ガイド(もくじ)
- 重要:SATとACTは同等
- SATとACTを徹底比較
- 【必見!】豆アドバイスシリーズ
- 【判断材料の優先順位】あなたはどちらがあっている?
- まとめ ~自分の得意な方を受ける~
重要:SATとACTは同等
まず、SATとACTは同等のテストして扱われています。だから、どちらかのほうが有名だとか、より評価が高い・低いだというようなことはありません。
が、みな得意・不得意はあります。なので、テスト勉強を始めるまえに、両方試してみて、どちらがより自分にあっているかをみきわめましょう。家で両方の模擬試験(公式のやつがおすすめ)を、なるべくテスト環境に近い形で受けて、より自分が得意だと思うほうを受けましょう。
注意:このときに点数が高いほう=自分が得意ほうとしがちですが、必ずしもそうではありません。たまたま、問題が簡単だったのかもしれませんし、点数よりも手ごたえを重視しましょう。もし、点数が低くても、そちらのほうが自分にあっている・点数を伸ばしやすそうだと思ったら、そちらを選択してもよいでしょう。
さあ、それではさっそく模擬試験をやってみて、、、と、ちょっと待った!
いきなり模擬試験をやるまえに、まずはSATとACT、それぞれの特徴をしっかり理解しましょう!これを知らないと、テスト選びはもちろん、勉強方法も間違ってしまうかもしれないので。
この記事では、SATとACTそれぞれの特徴、そして違いを徹底的に解説します。最後のほうに、あまり知られていないコツなどもありますので、ぜひ最後まで読んでください!
SATとACTを徹底比較
基本的な違い
個人的におもしろいなと思ったのは費用の差ですね。SATが意図的にACTより少し安くしようとしている、ライバル心?がみえみえですね。(笑)
さて、ここでまず知るべきは「テスト・セクション」の違いですね。名前は違ったりしていますが、実は問題の内容・タイプはほとんど同じです。以下にまとめました。
- ACT Reading = SAT Reading
- ACT English = SAT Writing
- ACT Math = SAT Math (no-calculator) & Math (calculator)
- ACT Science
- ACTライティング = SATエッセイ
唯一の違いは、Science セクションですね。また、SATは Math が2つあるのに対して、ACTは Math と Science の1つずつという構成になっています。これは後に詳しく解説します。
ただ、それ以外はほぼ似たような問題ですね。ただ、この2つのテストには決定的な違いがあります。それはテストを解かなけばいけない「スピード」です。
テスト時間・スピードの違い
注目すべきはセクションごとの問題数と時間。これをみることによって以下の「1問あたりに与えらえる時間」、つまりどれくらいのスピードで解かなければいけないのかがよくわかります。
こうみると、すべてのセクションにおいてACTの方が1問あたりに与えられる時間が短いということがわかります。この「時間」は、「問題の難易度」と関係しており、それぞれのテストの特徴としてあらわれています。
- ACTのほうがよりスピーディーに解く能力、つまり頭の回転のはやさが求められます。
- SATはじっくり解くことができますが、問題の難易度があがります。特に読解などの問題はかなり複雑なものが多いです。
なので、短い時間でポンポン問題を処理できるひとはACTがいいでしょうですし、逆に時間をかけてじっくり考えるのが得意ならSATのほうがいいかもしれません。
Science セクション
さて、最初に書いたとおり、ACTにあって、SATにない唯一の問題が Science セクションです。Science セクションと聞くと科学の専門的知識が必要なのかと思ってしまいますが、そんなのは必要ありません。
このセクションでは、科学に関する文章題がだされ、データやグラフなどの読み取りや分析することを求められます。集中してやれば、文章じたいは複雑ではないので、それほどむずかしくは感じないでしょう。
実はSATにも似たような問題はあるのですが、これはReadingの中から数問だされる程度なので、もしデータやグラフの読み取りが得意ならば、ACTを受験してみてはいかかでしょうか?
Math セクションの違い
Math セクションの違いに関しては、細々とした違いが何個かあります。
問題内容の違い
SATとACTはどちらも Algebra(代数学)の問題が多くだされます。
ただ、それ以外だと、ACTは Geometry(幾何学)の問題がSATよりも多く、全体的な範囲も広いということを理解しておきましょう。それぞれのテスト範囲をみてから決めるのもよいでしょう。
計算機
SATでは計算機を使ってはいけないセクションがありますが、ACTにはありません。なので、計算機なしで、じぶんの頭で計算(暗算)するのが苦手なひとはSATには向かないかも。
数式表
SATでは、面積や体積の求め方などをのせた「数式表」が使えますが、ACTではそんなものはありません。そんなにむずかしい公式ではなく、普通に覚えられるレベルのものですが、数学が苦手で、公式をいつも忘れてしまうというひとはACTの方がいいかも。
選択肢の数
ACTの数学問題には選択肢が5つありますが、SATは4つです。これはつまり、ACTの方が若干むずかしいのと、当てずっぽうで正解する可能性がわずかながら低くなることをしめしています。
SATには書き込み問題がある
ACTの問題はすべて選択問題ですが、SATには6問ほど書き込み(in-grid)問題があります。この問題では、選択肢はなく、じぶんで考えた答えを書き込み、その答えに応じてマークシートを記入するかたちになっています。
例えば、答えが1/3だと思うばあい、その答えをますめに書き込み、1,/,3をマークシートで塗りつぶします。
もうお分かりだと思いますが、SATではより「数学センス」みたいなのが求められます。暗算ができること、公式を覚えていること、そしてより自分で考え解いていく能力が必要です。
リーディングの違い
SATにだけある Evidence Support Questions
これはSATにだけ存在する問題です。内容はというと、前の問題で選択した答えが正しいことを裏付ける「証拠」を選ぶというものです。例えば、問題1でAを選択したとします。この問題1の Evidence Support Question は、4つの文章中の切り抜きの中から、問題1の答え「A」が正解だとしめすものを選ぶのです。
この問題は好き嫌いが大きくわかれます。選択した答えが正しければ、「証拠」選びも簡単なのですが、逆に間違っていると、間違った「証拠」を探してしまうため、2問おとすことになってしまいます。とりあえず、やってみたらわかります。
問題の順番
SATでは、問題が時系列にそってだされます。つまり、極端な例でいうと、段落1、段落2、段落3の順に問題がだされるわけです。これは、答えを文章中からさがすうえで、範囲を絞れるため、とても便利です。
対して、ACTは必ずしも文章中の順番にそって問題がだされるわけではないため、より広範囲の中から答えを探すことになります。
こう聞くと、ACTの方がむずかしく感じますが、SATの問題はより複雑だということを忘れないでください。実際、筆者も答えがある範囲は簡単にみつけられても、文章を完全に理解できずに結局解けなかったということがありました。
小論文セクションの違い
SATとACTにはそれぞれオプショナルの小論文(エッセイ)セクションがあります。SATでは Essay とよばれ、ACTでは Writing とよばれます。
SATエッセイ
SATでは、パッセージ(Passage)を読み、筆者の主張とテクニックを分析します。うーん、もっと簡単にいうと、筆者がなにかを書く時は、必ず目的がありますよね。例えば、宣伝だったら、商品を買うように読者を説得することが目的ですよね。その「目的」を達成するために、印象に残る言葉遣いや購入者の声など、さまざまなライティング・テクニックを使うわけです。
つまり、SATエッセイでは、この「筆者の目的」と「筆者のライティング・テクニックとその効果」を分析することを求められます。じぶんの意見などは一切かきません。
SATエッセイは読解力が高く、筆者の意図やテクニック(そしてその読者にあたえる効果)を理解・分析することに長けているひとにおすすめです。
ACTライティング
ACTでは、同じくパッセージを読みます。そのパッセージでは何かしらの「問題」をとりあげており(例:人権問題)、生徒はその問題に関するいろいろな視点・意見について書くことが求められます。また、SATとは違い、じぶんの意見をのべることができます。
つまり、様々な視点や意見を比べつつ、じぶんの意見を書くので、より主観的な(じぶんの考えを表現する)ことが好きなひとにおすすめです。ただ、なんでも好きなように書けばいいわけではなく、ちゃんとパッセージを使いじぶんの意見をサポートしなければなりません。
もしSATのように客観的に文章を分析するのが好きでなく、もっとじぶんの言葉で書きたいひとはこちらのほうがよいかもしれません。
スコアに関する違い
SAT━ACT点数換算表(公式)
ご存知のとおり、SATとACTではスコアの表示方法が全く違います。なので、一般的にSATとACTのスコアを比べるばあい、下記の表を使います。
これは2018年にSATを主催している College Board が出版した公式の点数換算表です。ちなみに、ACTからSATに換算する場合は * の点数を使用してください。
スコアの計算方法(Mathの重要性)
SATとACTのスコア計算における大きな違いは、Mathセクションの重要性の違いです。ご存知のとおり、SATではMathセクションが全体の50%を占めます。なので、必然的に最終スコアにおけるMathセクションの重要性が高まります。
一方、ACTでは、Scienceセクションがあるため、Mathは全体の25%と、SATよりは重要性が少なくなります。
実際の例をみてみましょう。
どちらの例でもMathの点数がとても低いですが、ACTの方が最終スコアの下がり具合がゆるいことが分かります。ACTでは88パーセンタイル(トップ12%)と持ちこたえましたが、SATでは68パーセンタイルまで下がってしまいました。この20%の差は、トップ12%かトップ32%かの差なので、とても大きいですね。
なので、数学が得意ならばSATを、不得意ならばACTを受験することをおすすめします。
Superscore
大学によっては、テストスコアを提出する際に、Superscore を選択することができます。
詳しい説明は省きますが、Superscore ではセクションごとにじぶんのベストスコアを選択することができます。
このように、自分のセクションごとのハイスコアをくっつけることを、Superscore といいます。
セクション数は、SATでは2つ(Math、EBRW)、ACTでは4つ(English、Science、Math、Reading )あります。
なので、Superscore がしやすいのは、より細かくセクションがわかれている、ACTとなります。これも頭にいれておくとよいでしょう。
【必見!】豆アドバイスシリーズ
SAT━ACTの点数換算を最大活用しよう
皆さんお気づきでしょうが、SATの方がシステム上より細かくスコアが表示されます。これをうまく利用することによって、より自分のスコアを「よく」みせることができるかもしれません。
例えば、SATで1490点、ACTで34点とったしましょう。ACTの34点は、SATでは1490点~1520点なので、この場合ACTをだしたほうが良いでしょう。ACTではギリギリ34点なのかわかりませんし、うまくいけば1520点相当と判断されるかもしれません。
逆に、SATで1520点、ACTで34点ならば、SATをだしたほうが、同じスコアバンド(ACT34点、SAT1490~1520)でも自分が高いほうだということをアピールできます。
注意点
①ただ、これはあくまでSATでも、ACTでも、同じようなスコアをとれる場合の話です。だいたいのひとは、得意・不得意なテストがあると思うので、その場合は単純により高いスコアがとれたテストの結果を提出しましょう。
②また、これらすべては理論上のことであって、実際に大学がACTとSATをこのように比べているかはわかりません。SATとACTを完全にわけて、それぞれのグループ内でしかスコアを比べていないかもしれませんし。
大学によってはSAT・ACTどちらかの方が有利ということも
これは筆者も知りませんでした。というか、いわれてみれば当たり前ですが、考えたことがありませんでしたね。
どういうことかというと、あたりまえですが、SATの提出者の数とACTの提出者の数がきれいに半々になることはありません。毎年、どちらかの受験者数の方が多くなりますし、平均レベルも違ってきます。
前に書いたように、SATとACTはいちおう点数換算表があります。ただ、SATのほうがスコアが細かい(比べるのがむずかしい)ため、大学もあまり厳密にはACTとSATのスコアを比較していない可能性もあります。
つまり、段階によっては、SATとACTの受験者でそれぞれ分けて審査している可能性があるのです。そうすると、大学によってはどちらかのテストの方が、わずかながら有利になることもあるかもしれません。
どの大学も合格者のテストスコアを公開しているため、これは簡単にみることができます。ここで注目するのがテストスコアの四分位数です。これは合格者のスコアを下記のように4つのグループにわけたものです。
この大学の四分位数をみると、ACTとSATでは違うことがわかります。
例えば、ある大学の Mid-50(合格者の真ん中50%のスコア範囲)は
- ACT:29~34
- SAT:1310~1510
でした。
ACTのスコアをSATになおすと、1330点~1520点になります。つまり、この年、この大学ではACT提出者の平均がSAT提出者よりも高かったということです。つまり、この年に限ってはSATを提出するほうが有利だったかもしれません。
ただ、これは毎年変わるので、予測するのがむずかしいです。過去の傾向などをみて判断することはできますが、確実性にかけますよね。
両方とも受けたほうがいいの?
よくある質問です。
結論からいうと、基本的に共通テストは1つだけで十分です。
ただ、もし時間と余裕があるのならば、2つ受けることをおすすめします。
多分この3つのアドバイスのなかで、1番効果があって確実なのは、両方受けることですね。詳しくは、「【SAT&ACT】両方うけたほうがいいの?【プリンストン大学の Dean of Admission が何と?】 - アメリカ大学情報室」に書いてあるので、そちらを読んでください。
【判断材料の優先順位】あなたはどちらがあっている?
さて、SATとACTの違いをいろいろ解説しましたが、多すぎてどれを重視すればいいか分からないという人もいるでしょう。
なので、筆者が考える判断材料の優先順位をお伝えします。
- スピード派かじっくり派か
- Mathセクション
- Scienceセクション
- リーディングセクション
- 小論文セクション
1番はテストスピードです。ACTは全体的にペースがはやく、SATは問題がより複雑なので、そこは自分が得意なほうを選びましょう。
次はMathセクションです。得意ならSATを、苦手ならACTが良いかと。
3番目は Science セクションです。グラフやデータ系の問題が得意なら、ACTで点数を伸ばすことができます。逆に苦手なら、問題数が最小限のSATへ。
リーディングは、小さな違いですが、意外と重要です。Evidence Support Question は好き嫌いが大きく分かれますし、問題が時系列にそって出題されないのはすごく嫌いなひと(僕もそうでした!)もいますから。
小論文はたいして気にしなくていいでしょう。小論文セクションを提出することを義務付けている大学はとても少ないですし、練習すればどちらでも対応できると思うので。
まとめ ~自分の得意な方を受ける~
①それぞれの特徴をしっかり理解する
②なるべくテスト環境に近い感じで両方の模擬試験を受けてみる
③どちらがより自分にあっているかを見極める
あなたが1番信じるべきは、あなた自身のフィーリングです。
結局はあなたがより手ごたえがあるほうを選択し、全力で勉強するのみです。大変でしょうが、頑張ってください!グッドラック!