アメリカ大学情報室

アメリカ大学情報室

アメリカ大学留学を目指している人を応援するブログ

SAT Essay と SAT Subject Tests の廃止を徹底解説

f:id:miumiu19:20210401040230j:plain

少し、というか結構遅れてしまいましたが、今回は今ホットな SAT Essay と SAT Subject Tests の廃止について書きたいと思います。

2021年1月SAT を主催する College Board から SAT Essay と SAT Subject Tests の廃止が発表されました。この突然のニュースは現受験生にとってだけでなく、もう受験を終えている筆者にとっても衝撃的でした。

去年受験した僕にとっては、あと一年早ければ・・・というところですが、そんなどうでもいい愚痴はおいておき、本題にうつりましょう。

SAT Essay と SAT Subject Tests の目的

いちおう、知らないひとのために簡単にこの2つのセクションについて説明しておきます。しかし、何年かしたらこれらを全く知らない人がほとんどになると思うと、なんか変にしんみりしますね。(笑)

SAT Essay

作文を書くという、ライティングの能力が試されるセクションでした。しかし、これはオプションナルで、受験するには追加料金を支払う必要がありました。

内容はというと、文章を読み、その文章の筆者がどのように読者を「説得」しているかを説明するというものでした。スコアは、各8点満点の3つのカテゴリー(Reading、Analysis、Writing)からなる、合計24点満点でした。

SAT Subject Tests

別名 SAT II。通常の SAT とは違い、より専門的な知識を試すためのテストでした。生徒は20にも及ぶ科目Chemistry、Biology、Spanish、World History など)の中から受験する科目を選び、スコア各科目800点満点で評価されました。

SAT Essay と SAT Subject Tests はどれくらい重要だったの?

SAT Essay は不評だった?

2019-20年は、120万人以上が受験した SAT Essay ですが、意外にも廃止の影響はそこまで大きくないと思います。なぜなら、このセクションはもともと大学からもあまり重視されていなかったからです。

その証拠として、SAT Essay の提出を必須としている大学の方が少なかったぐらいです。筆者が受験した時も、必須だったのは University of California ぐらいでしたね。

まあ、詳しいことは僕もよく分からないのですが、SAT Essay は生徒の能力・大学への適性度をはかるのに適していない、とよく言われていました。

生徒のライティング能力を正しく評価するには、1) テスト時間(50分)短すぎるとか、2) 採点にかける時間が短すぎる(1時間に20~30人を採点)とかいわれていたね。

いずれにしろ、かなり不評だったので、SAT Essay の廃止は特に驚きませんでしたね。

SAT Subject Tests(SAT II)はそこそこ需要があった

個人的には、SAT II の廃止の方が意外というか、インパクトが大きかったですね。

というのも、SAT II は受験生のレベルがあがる難関校の受験において、そこそこ重宝されてきたからです。

やはり、大学のレベルが上がれば上がるほど、受験生のレベルもあがり、SAT や成績だけでは差別化が難しくなってきます。

また、MITなどの Tech School では、より専門的な(科学や数学など)知識を持っているのかをみたいというところも多くあります。

SAT II は、これらの問題の解決にそこそこ(?)貢献していました。

最初に書いたように、基本的に競争の激しい難関校でしか求められませんでしたので、受験者数は SAT Essay の半分ぐらいでしたが、筆者的には SAT II の廃止の方が、その影響が大きいと思っています。

なぜ SAT Essay と SAT Subject Tests は廃止された?

College Board(CB)のこの突然の発表には多くの人が驚きました。

SAT II の廃止の噂など全くといっていいほどありませんでしたし、SAT Essay も、確かに不評ではありましたが、つい最近まで CB はその有用性と信頼性をアピールしていましたから。

いったい何がこれら2つのテストを廃止に追い込んだんたろう?

CB が説明した廃止理由によると「SAT をよりシンプルにするため」らしいよ。

まあ、確かにこの理由には納得がいきます。

SAT II は、AP で十分まかなえますし、むしろ AP をとっている生徒にとっては余分な負担でした。

SAT Essay はもともと大学から不評で、その存在意義を議論されるぐらいでしたから、まあ無駄を排除するという意味では、よりシンプルになったといえます。

しかし・・・

あんなに不評でも、SAT Essay を中々廃止しなかった CB が、なぜ急に世間のいうことに耳を傾けはじめたんだろう?しかも、SAT II まで廃止して。

最近は AP が普及してきていること(結果、SAT II の必要性が下がってきている)やコロナなどでテスト機会が限られてきてることから、より SAT をシンプルにしようとしているのではないかというのが大半の見方だそうです。確かに、通常の SAT 1つにすることによって、CB と生徒、両方の負担が減ることは確かです。

また、これはあくまで筆者の推測ですが、これには最近の SAT・ACT の不人気が関係しているのではないかと思っています。 昨今、SAT・ACT の提出を免除する大学が増えており、さすがの CB も大学や生徒の意見を無視し続けるのはやばいと思ったのではないでしょうか。利益よりも、 SAT の人気・信頼の回復が目的だったとするなら、この決断にも納得がいきます。

【おまけ】ちなみに、SAT の最近の不人気についてはこちらの記事で詳しく書いてあります ⇩ ⇩ ⇩

uscollege.hatenablog.com

SAT Essay と SAT Subject Tests 廃止の勝者と敗者

勝者:ほぼ全員

ほぼ全員にとって、これはグットニュースでしょう。

なぜなら、これら2つのテストの廃止は生徒の負担をかなり減らしてくれるからです。 

たかが2つの小さいテストが無くなっただけじゃん!という人もいるかもしれませんが、それは大間違いです!この2つは生徒にとってかなりの負担でした。

SAT Essay 廃止のメリット

SAT Essay なんて、必要としている大学が少なかったうえ、その信頼性・妥当性が議論されるぐらいだったので、勉強のモチベーションをあげるのが大変でした。

筆者も、UC を受けるためだけに必要だったのですが、本当にやる気が出ませんでした。しょっちゅう「受けても大学はみない」とか「信頼性がない」とか言われていましたし。

ただ、受験する以上はちゃんと勉強しなきゃいけなかったので、SAT Essay の廃止は本当に良かったと思います。

SAT Subject Tests 廃止のメリット

こちらも同じく生徒の負担をかなり減らしてくれます。

まず、SAT II は、通常の SAT と一緒には受験できなかったため、SAT I と SAT II のスケジュールの兼ね合いが地味にめんどうでしたしね。SAT II を受験するために SAT I の受験を断念・延期するひとも多かったですし、SAT II の受験機会はあまり多くなかったので、それも大変でした。

そして、こちらもやはり受ける以上は、ちゃんと勉強しなくてはならないですしね。これは、特にAP や IB をとっている人にとって、結構めんどくさかったです。なぜなら、同じ教科でも内容が違うからです。また、高校で勉強したことがない教科なんかには、もっと勉強に時間がかかりますしね。

例えば、筆者は、IB 生徒でしたが、 IB Biology と SAT II Biology でも、範囲や内容が全然違ったので、大変でした。また、同じ CB が主催しているとはいえ、AP と SAT II も微妙に違うそうです。

もちろん、できる生徒は、AP・IB と SAT II の両立ができましたが、ほとんどの生徒にとっては結構な負担だったので、これは喜ばしいニュースだと思いますね。

敗者:テストが得意な上位校志望者

SAT II と SAT Essay の廃止は、テスト負担の軽減という意味では、全生徒にとってよい出来事です。

ただ同時に、これらのテストが得意な生徒にとっては、残念なニュースであることも事実です。アピールできる場所が減るわけですから。

特に、SAT II は上位校を受験するテスト上手な生徒にとっては、貴重な武器でしたからね。テスト好きな生徒にとっては、SAT II で800点とることはそこまで難しくなかったですし、それを3教科分とれれば結構なアピールになりましたからね。

しかし、彼らも見方を変えれば、その勉強時間を他のことにまわせるわけですから、重要なのは、この時間をどう使うかですね。

ポジティブに考えよう!(SAT Essay と SAT II 廃止の影響と対策)

筆者のように、SAT II と SAT Essay の廃止を嬉しく思う人もいれば、貴重なアピール方法を失って落ち込んでいる人もいるでしょう。

しかし、一番だいじなのは、これを自分のアドバンテージに変える努力をすることだということを忘れてはいけません。みな同じ条件なのですから。

テストが無くなったからといって喜んだり、悲しんだり(これは少数だと思いますが)している場合ではありません。この2つが無くなったということは、他のものが今まで以上に重要になってくるということですし、他の方法でライティング能力(SAT Essayの代わりに)や専門知識(SAT II の代わりに)をアピールしなくてはなりません。

具体的には、

  • ライティング能力をアピールする場は、自然とカレッジエッセイと SAT の Writing セクションに限られてきます
  • 専門知識は、課外活動や AP などでアピールすることが重要になってきます

本当の「勝者」は、この出来事をより自分のアドバンテージになるように努力したひとです!

グットラック!



プライバシーポリシー
お問い合わせ